2025/5/16 article

OpenAI、ジョニー・アイヴによるAIのための2026年新デバイス予測

OpenAIが、Appleの伝説的デザイナーであるジョニー・アイヴ率いるAIスタートアップ「io」を買収すると報じられました。
買収額は65億ドル(約9,335億円)という巨額で、OpenAIのAI時代における次世代デバイス開発への本気度を示していると考えています。
サム・アルトマンは
「私たちはAIを外部の”脳”として使おうとしているのに、数十年前に設計されたラップトップやスマートフォンに頼っている。これは根本的におかしい」
と発言しています。
確かに、現在のデバイスはインターネット時代に最適化されたものであり、AI時代の要求に完全に応えているとは言えないのかもしれません。
画面をタッチ、マウスで操作、キーボードで入力する、こういったインターフェースが本当にAIとの最適な対話方法なのか?と改めて考えてみると、明確に回答することができません。

失敗から学ぶAIデバイスの難しさ

これまでもAI専用デバイスへの挑戦はありました。
Humane社のAI Pinは胸元に装着する小型デバイスとして注目を集めましたが、過熱問題や使い勝手の悪さから市場に受け入れられず、最終的にHPへの身売りから事業撤退、という結果に終わりました。
Rabbit社のR1も、オレンジ色の可愛らしい外観で話題になりましたが、実用性の面で課題を残しています。
MetaのARグラスも、まだ実験段階を脱していません。
ジョニー・アイヴはこれらの先行製品を「劣悪」と断じており、根本的に異なるアプローチを取ることを示唆しています。

新たなデバイスはどんなものになるのか?
OpenAIは2026年中に最初の製品を発表すると目されています。
サム・アルトマンは「スマートフォンを置き換えるものではない」と発言していますが、だとしたらどんなものなのか?やはり気になります。
2026年はもう来年なので、製品としてのめどは立っているのだと思いますが、いずれにしても現在のデバイスよりも

・より簡単にAIに接続できる
・より簡単にAIに指示を出せる
・より簡単にAIから出力を得られる

といった、常時接続・ハンズフリー・コンテキスト連動型なものを目指すはずです。
もう少し具体的な機能要素に落とし込んでみると、

・マルチモーダルインタラクション:テキスト入力に代わり、音声、ジェスチャー、視線、触覚など、より自然で多様な方法でAIと対話できる。
・コンテキストアウェアネス:AIがユーザーの置かれた状況、周囲の環境、過去の行動履歴などを深く理解できる。
・アンビエントコンピューティング:デバイスの存在を意識させず、ユーザーの生活空間にAIが自然に溶け込む。
・プロアクティブアシスタンス:ユーザーが指示しなくても、AIが先回りし必要な情報やアクションを提案・実行する。

これらの機能を持った、あるいは最適化されたデバイスになるのではないかと思います。
また
「スマートフォンを置き換えるものではない」
と言う発言は、スマートフォン+この新デバイス、と言う使用を想定しており、スマートフォンを補完するための常時接続デバイス、になるかもしれません。
これらを踏まえていくつかこの新しいAIデバイスがどんなものになるのか、予測してみました。

2026年の新AIデバイス予測

1・ヒアラブルデバイス

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サム・アルトマンがたびたび音声インタラクションの可能性について言及していることもあり、もともとヒアラブルデバイスへの興味はあったのではないかと思います。
AIとのインタラクションは通常テキストで行いますが、これはつまり言語を介して行うと言うことです。
ゆえに、言語である音声でのインタラクションは違和感がなく、より直接的でスピーディーなインタラクションを実現できるものであるはずです。
そこで例えばですが、
洗練されたイヤカフ型デバイス。
などはどうでしょうか?
常時装着を前提とし、音声AIアシスタントが常にユーザーのそばにいるような体験を実現。
周囲の音も自然に聞こえ、AIからの音声や情報がプライベートに提供される。
入力は音声で、スマートフォンとの連動も可能。
音声入力の方法に何かしらのソリューションが必要かとは思いますが、次のAIインタラクションとして音声利用がより拡大することは十分考えられるので、その観点からも期待はできます。
ただ、ジョニー・アイヴもサム・アルトマンも身につけるデバイスにそもそも懐疑的らしいので、その点で実現度はどうでしょうか?

2・小型AIクリップ

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Humane社のAI Pinの進化&小型版と言う感じの想定です。
身に付けたくなるような美しいデザインにしてくれるのであればペンダントなどの可能性もあるかもしれません。
ただこれもインタラクションとしては音声が想定されるものとなるので、その点に関してはヒアラブルデバイスの方が使い勝手が良さそうにも思います。
また単に身に付けられる小型デバイスということであれば、スマートウォッチを会話できるようにすれば良いのでは?、、、とも。
ひょっとすると本当に会話できるスマートウォッチデバイスであったりするのかもしれません。(あるいはこれはApple Watchのアップデートで実現の方が早いかも?)

3・AIスマートグラス

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ジョニー・アイヴはMetaのARグラスを酷評しているようですが、だからこそ自分でより良いものを作って世に出そう、と思うかもしれません。
もし出すとしたら、AI連携が強化された軽量でデザイン性の高いスマートグラスであり、視界を妨げないARにて情報を表示する。
このスマートグラスにおいても、インタラクションは音声となるはずです。
ただし、軽量なグラスといえど、イヤカフなどよりも装着のハードルは高いのではないか?とも考えられます。
その懸念を解決できるのかが、実はスマートグラスにおいては最大のポイントかもしれません。

4・携帯型AIオリエンテッドスマートスピーカー

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ジョニー・アイヴはグラスだけでなく身につけるデバイスにそもそも懐疑的らしいので、卓上デバイスという可能性もあります。
このデバイスでもディスプレイなどはなく、あるいはあっても小さなもので音声インタラクションが中心となります。
つまりスマートスピーカーの、よりAIオリエンテッドなバージョンという感じでしょうか?
また、超コンパクトにできるのであれば、2の小型AIクリップのように、ポケットに入れて持ち運びなども可能なはずで、いわば携帯型AIオリエンテッドスマートスピーカーと言えるようなデバイスです。
これまでの4つのデバイスに共通しますが、この新AIデバイスの鍵となるのは音声でのインタラクションなのではないか?と考えています。

5・前例のない全く新しいAIデバイス

これは前例がないと言うことなので全くどんなものになるか分かりません。
そしてその可能性はさすがに低いのではないか…とは思っていますが、もし本当に前例のない全く新しいAIデバイスが世に出てくるのであれば、非常に大きな話題になるのは間違いないでしょう。

予測の答え合わせは2026年

どの予測が当たるのか?あるいは全く的外れなのか?は分かりませんが、いずれにしても新AIデバイスは、「スマートフォンを置き換える」のではなく、スマートフォンでは実現できない常時接続・ハンズフリー・コンテキスト連動型、のAI体験を提供することに主眼を置くものになるのではないでしょうか?
そして、この新AIデバイスがどんなものになるのかにかかわらず、音声インタラクションについては今後要注目なのではないか?と考えています。

さて、いろいろ予測してみましたが、AI市場の今後の傾向としては考察できているのでは?と思いますが、予測通りのデバイスが出るのかについては正直何とも言えません。
2026年を楽しみに待ちながら、その時が来たら答え合わせをしたいと思います。
皆さんはどんな予測をしているでしょうか?
ぜひお聞かせください。

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