エンジニアや開発に関わっている方にとっては既に常識となりつつあるかもしれません。
AIコーディングツールを使用したAI駆動型の開発。
Cursor、Windsurf、Cline、DevinといったAIコーディングツールを使用し、LLMとの対話だけでコードを書く必要なしに開発できる、という新しい開発手法です。
この開発手法に名前があるのご存知でしょうか。
それはバイブコーディング(Vibe Coding)です。
Open AIのAndrej Karpathyが、名付け親とされ、Xに投稿したことでこの名前の認知が広まったようです。
前述した通り、端的にいうと、Cursor、Windsurf、Cline、DevinといったAIコーディングツールを使用し、LLMとの対話だけでコードを書く必要なしに開発できる、という新しい開発手法です。
エンジニアや開発者の間では既に話題となっていますが、例えば、81%がAI企業だというYコンビネーターのスタートアップの多くがこの手法を取り入れている言われており、先進的な開発者、及びそれらの方が所属している企業ほど、この手法の導入が進んでいると考えられます。
このバイブコーディングを使用すれば、これまで10人で開発していたプロダクトを1人で、100人で開発していたプロダクトを10人で、と言うようにはるかに少ない人数で行うことが可能になります。
バイブコーディング、およびそのためのAIコーディングツールの活用は、今後の開発トレンド、というよりも常識になっていきそうです。(繰り返しますが、すでに常識となっているのかもしれません)
これからの開発は、単なるコードを書くだけの作業者的なエンジニアは必要なくなっていき、プロジェクト全体の開発を技術的に常に指導できるテックリードの様な人材が求められる、と言うよりもそういった方々さえいれば良い、と言うような状況になっていくのでしょう。
テックリードが個人から数人、または10人程度いるという感じの小さな開発チームが主流となるかもしれません。
つまりAIをコーディングを行うメンバーとして
・アーキテクチャの設計と指示
・コードレビューと改善の指示
・デバッグ作業
を行う人さえいれば良い、という様にです。
流石に現状はデバッグは人力でないと難しい様ですが、いずれこれもAIで行える様になると設計、改善の”指示”だけです。
こうなると、当然これまでよりもはるかに少ない人数、小さなチームで、低コスト、高速のプロダクト開発、リリースが可能になります。
開発の外注や、オフショア開発も減り、内製化も進むでしょう。
そして、この小規模チーム化は、この言葉から想起される小さな開発チームを持つ企業、つまりスタートアップだけに限りません。
上場企業から、GAFAMのようなビックテック企業まで、人員が10分の1、あるいは100分の1となっていく流れは不可避かもしれません。
開発手法そのものの変化と違って、まだ全然語られていないように思いますが、個人的には開発そのものの変化だけではなく、バイブコーディングによって変化するマーケット、または新しく生まれるビジネスチャンス、の方にやはり興味があります。
起業家、新規ビジネス開発者にとっては、バイブコーディングによってもたらされるビジネス上の変化を予測し、新たな機会を捉えることが重要なはずです。
例えば、これまであまり見向きもされなかったようなニッチな小さなマーケット向けのプロダクトの開発が増える、と言う事は予想されます。
これまでの開発手法では、マーケットが小さい、と言う理由で無視されていたようなニッチなプロダクトが、コスト面で正当化される、ということが起こるからです。
ドメイン特化のAIサービス展開などは、これから増えてきそうだと予想されていますが、バイブコーディングが開発の面からもこれを後押しするかもしれません。
ビックテック企業について前述しましたが、これまでテックビジネスは、規模の経済が、大きな競争優位を作っていました。
しかしこの優位性についても、開発コストに起因するものに関しては、失われていくと予測はできます。
ただしバイブコーディング時代のテックビジネスの競争優位がどう変化するのか?については、今後の動向を見ていく必要があるでしょう。