2025/6/12 article

2024年と2025年の比較で探る 企業向けAIトレンド2025

様々なエンタープライズ領域のAIレポートから、2024年と2025年を比較し、これからの企業向けAIトレンドについて考察してみました。
最新のAIレポートはよく目にしますが、過去との比較から今後のトレンドを読み解く視点はあまりありません。
今回は2024年と2025年の変化に注目し、その動向をまとめています。
*数値に関してはアメリカを中心とした欧米のデータとなっています。

マルチモデル対応の普及

2024年:1〜2モデル使用が主流
2025年:マルチモデル対応が加速中

企業はユースケースごとに、複数の高性能LLMを選択し、最適なモデルを使用するマルチモデル戦略が特に先進層で加速中。
37%の企業が5つ以上のモデルを使用(2024年は29%)。
今後はさらに多くのモデルを使用し、使い分けるトレンドに。

AIエージェントの重要さが増す

2024年:使用企業ほぼなし
2025年:エージェントワークフロー構築中の企業が増加

生成AIが単発使用から、複数の生成AIや機能を連結させたAIエージェントの自律的ワークフローへと進化。
Icertis × ProcureCon のCPO調査では「90%の調達部門が25年にAIエージェント導入/検討」と報告。
エージェントワークフロー及びパイプラインの構築、の重要さが今後さらに増す。
現状では完全自律型を目指すよりも、ワークフロー自動化目的が主流。
単一モデルの導入と異なり、複数モデルや機能連携のパイプライン構築が必須となるため、必要知識、技術レベルも上がっていく傾向で企業はこのための人材育成が求められる。
ただしAIエージェントはマーケティング用語として過剰使用されているのでは?という指摘もある。

ファインチューニングやRAGの位置付けが変わる

2024年:ファインチューニングやRAGの導入を検討する企業が増える
2025年:ファインチューニングやRAGは機密領域飲みに

モデルの性能向上とコンテキストウィンドウの拡大により、ファインチューニングやRAGの位置付けが変わり、機密領域のみ残存となる傾向。
RAGはPoC件数こそ増えているが、コストとスピードを優先する企業はプロンプトエンジニアリングへ回帰。
ユースケースの二極化(機密領域はFT/RAG、汎用領域はプロンプト)の傾向が進む。

「自社開発」から「購入」へのシフト

2024年:自社開発を検討または実行する企業が主流
2025年:市販サービスの購入使用が主流となる

AIサービスのエコシステム成熟及び急激な進化に伴い、企業は自社構築から市販サービスの購入へ移行。
規制の厳しい業界(例:医療関係など)を除き、この傾向が加速。
購入選定基準としてセキュリティやガバナンス要件もこれまでと変化し、かつ影響も大きくなっている。

AI駆動開発の進化

2024年:一部の先進的なソフトウェア企業が導入。
2025年:AIによる開発支援の定着が進む

AIコーディングツールが進化し、CursorやClaude Codeが市場で評価され普及が進む。
2024年にはAIコード使用率は10〜15%程度だったが、ある成長SaaS企業のCTOは、AI生成コードが90%に達したと語っている。
Microsoft CTO Kevin Scottは「今後5年でコードの95%がAI生成」と発言。
バイブコーディング(AIに指示を与えながら一緒に開発)からエージェンティックコーディング(最初にAIに指示を与え、あとはAIが自律的に開発)という流れも出始め、2026年にはさらに加速する予測も。

AI導入からAIネイティブ企業へ

2024年:業務にAIを後付けで導入が大多数
2025年:AIネイティブ企業が圧倒的な速度と小人数で成功する事例が増える

AIネイティブ企業が、既存企業を上回る速度と小人数で成長する事例が増える。
例えばCursorは非常に少数のメンバーで運営されてきて(現在は約40~60名まで増加)、設立から約3年、リリースから約2年で約90億ドル〜99億ドルの評価を得たと報道される。

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